道営出身馬の強さの秘密教えます!

こんにちは、代表の会田です。全国に数ある地方競馬場の中でも、ホッカイドウ競馬出身の活躍馬達が 一際目立つと思いませんか?

2歳戦で全国の地方重賞を席巻するだけでなく、中央競馬と地方競馬のレベルが開く近年でもハッピースプリント・ヒガシウィルウィン等JpnIウィナーを多数輩出していますし、サクラアンプルールやリッジマン等のように中央重賞を勝つ事も珍しくありません。

今回は、道営出身馬の強さの秘密を解説に迫る記事を書いてみました。

ホッカイドウ競馬は2歳戦がメイン!

ホッカイドウ競馬は、寒冷地にある立地上の問題から、開催が4月下旬~11月上旬の半年間しかありません。

オフシーズンの間は何をやっているかというと、近隣の育成牧場のように1歳馬の馴致・育成を行っています

シーズンが終わりに近づくと在厩馬が各地に羽ばたいていきますが、それと同時に1歳馬が続々入厩して来るんですね。

現役の騎手とかが調教をつけてくれますし、預託料は20万円程度と道営の値段でやってくれますから、周辺の育成場より預託料が安く済むのも魅力の一つです。

その育成馬達は明け2歳の3月には能力検査を受け、シーズンインの4月末には「日本一早い新馬戦」が行われ早くも競走馬としてデビューします。

ホッカイドウ競馬はこの2歳戦を売りにしていて、入厩して来る2歳馬の数は地方競馬でNo.1。

6月には早くも世代最初の重賞が行われ、夏以降はここで育成された強い2歳馬が、各地へ羽ばたき熱い戦いを繰り広げます。

道営出身馬は時には中央馬をも凌駕する

道営の新馬戦は、大半がJRA認定競走(※)として行われるため、必ず8頭立て以上で行われます

一方、他地区の新馬戦は頭数が集まらず5頭立て等で行われる事も珍しくありません。

2015年には内回りコースが新設され、距離のバリエーションも増え、早い時期から多頭数で揉まれて来た道営馬は、他地区のレースで大活躍。2歳戦では中央馬をも凌駕する事もしばしばあります。

これにはちゃんと理由があります。中央競馬の新馬戦が行われるのはダービー後の6月ですから、7月・8月のJRA北海道シリーズや2歳のダートグレード競走では中央馬が1・2戦のキャリアで臨むのに対し、道営馬は既に4~5戦している事が多いからです。

要するに経験値の違いで勝ってしまう訳ですね。

※JRAが賞金の一部を補助している競走。8頭以上でしか施行出来ないという条件がある。勝利すると中央の特指レースに挑戦する権利が与えられる。

近年のレベルアップの秘密は坂路にあり!

地方出身馬が17年間中央GIを制していない等、中央とのレベル差がより開いている中で、道営出身馬だけは近年でも中央の上級条件や、グレードレースでの活躍が目立ちます。

その秘密は2011年に新設された、屋内坂路にあります。

全長900m、勾配5.5%という本格的な坂路施設があるのは地方競馬の中でも門別競馬場だけで、中央に比べても遜色ありません

この坂路は冬季の強い調教を可能にし、ハッピースプリント、ヒガシウィルウィン、ニシケンモノノフ、リッジマン等のグレードレース勝ち馬はこの坂路で育成されました。

私のハッピーグリンもこの坂路で追い切って道営在籍のまま1月のセントポーリア賞に勝利。この素晴らしい施設が、道営出身馬の多大なレベルアップに貢献しています。

馬の育成に適した立地

近年、他地区でも新馬戦の時期が早まって来ていますが、地球温暖化の影響により本州では35度を超える猛暑日の中で競馬が行われる事もしばしば。新馬戦はナイターの時間にはやりませんので炎天下の中走る事になります。

レースだけでなく、調教が行われる朝も高温多湿です。 馬は暑さに弱い生き物で、人間のように夏負けしてしまう馬もいます。古馬ならともかく2歳馬にとっては酷で、このような環境下でデビューしたら走る事が嫌いになってしまう馬もいるのではないでしょうか。

一方ホッカイドウ競馬は冷涼な北海道で開催され、全日程ナイターで行われますから、30度を超える環境で走る事はまずありません。また馬産地直結というメリットもあり、馬に何かあったらすぐに産まれ育った牧場に返して見てもらう事も可能ですから、競走馬にとって理想的な環境と言えるでしょう。

今後の課題

一方、昨年の地方の2歳戦では南関東生え抜き馬の強さも目立ちました。これは近年南関東の主催者が、新馬購入に対し高額な補助金を出したり、賞金を増額したので入厩して来る2歳馬の質が上がっているためと分析します。

またこのような施策が行われてから数年経つので、南関の調教師にも2歳馬の育成方法のノウハウが蓄積されて来て、今後は道営馬といえど一筋縄ではいかなくなるかもしれません。

ただ、道営には元々、セリで売れなかった馬を育成して売却する「馬産地のセーフティネット」的な役割もあるので、入厩して来る馬の質は今も昔もそう変わらないのかもしれませんが、ホッカイドウ競馬では馬の強さに比して賞金水準が低く、強い馬の入厩を促進する補助金の類も一切無いのが現状。

詳細はまだ決まっていないようですが、本年度も賞金が増額され、抽選でセリの補助金が出るらしいという話を聞いています。

これだけの恵まれた環境にあるのですから、そこら辺を強化していけば、今後より多くの全国区の馬を輩出し続ける事が出来るのではないでしょうか。