【コラム】HBAサマーセール2025レポート(中編)
こちら、HBAサマーセール2025レポート(前編)の続きになります。
セリ参加のスタンス
さて、本編に入る前にセリに参加する大前提のお話をします。
よく、セリに行く前に「会田さんはどの馬を狙っているんですか?」と聞かれるのですが、
よっぽど気になる血統の馬がいない限り事前にこの馬と目星をつけている事はほとんどなく、
大体がセール当日に軍師・田中淳司先生と相談して決めています。
まず朝一でセリ場に行って一斉展示で軍師に馬体を見てもらい、その中からクラブに向きそうな血統の馬を何頭かピックアップ
後はセリ場に張りついて手元のPCでレポを見ながら場の流れを観察し、予算内で買えそうだったら落札していくというスタンスです。
また、良さそうな馬が主取りになったらそこから購買候補に浮上し、再上場をかけて落札する事もあります。
「どうしてもこの馬が欲しい!」と事前に決め打ちしていく人が多いと思いますが、
欲しい人が2人いたらいくらでも高くなるのがセリですから
相場より高いと思ったら無理をせず「ご縁が無かった」とスッパリ諦めます。
ビジネスとしてやっている関係上、元々の価格から上乗せして募集していますので、
そこからでもプラス収支に持っていって共有オーナーに喜んでもらえるような馬を、少しでも安く仕入れる事を心がけています。
初日
さてセリの実録レポートですが、今年のサマーセールは昨年同様6日間のロングランで行われました。
昨年のコラムにも書きましたが、昨年は初日と3日目が買いやすかった事に着目し、昨年同様初日から狙っていこうと思っていました。
(なお今年は写真撮影禁止との事なので、現地は公式カメラマン撮影のもののみ載せていますのでご了承ください)
前日より北海道入りし、朝一に会場に来てみると、やはり一斉展示から人が少ない感じで、セリが始まってみても明らかに相場より安く落札されていたり、主取りが目立つような感じです。
ブラックシンデレラの2024
その中で今年の東海優駿を制したサンヨウテイオウの下・ブラックシンデレラの2024(父マジェスティックウォリアー)も600万円で主取りになっていました。
この馬、事前に見ていたんですが軍師がえらい気になっていたようで、主取りになった後「500万円だったら買うかい?」とメチャメチャ乗り気。
そんなに気になるんだったらと交渉に行かせたのですが誰か既に500万円で再上場を申し込んでいたらしい。
牝馬は募集価格が高いと売れ残るので予算は500万円までと決めていたのですが、軍師が本馬をとってもやりたそうな感じだったので
「じゃあ510万円で入れて落ちたら買って、落ちなかったら諦めましょう」という話になりました。
ただ、本来なら20万円単位でせり上げるべきところ、10万円単位だと恥ずかしいから隠れて競って来ると言い残して軍師は私の購買者番号を持って2階席正面で競っていたのですが
たまたま競っていた場所に船橋の某大御所先生がいて、「えっこれ狙っているの?再上場申し込んだの自分なんだけど・・・そっちが行くなら譲るよ」と
まさかの再上場を申し込んだ人と申し合わせで落札が決まってしまいました。
なんか気まずくて非常に申し訳ない感じですが、船橋の某大御所先生と軍師、JpnIの勝利経験のある2人のトレーナーの目に留まった馬ですから、きっと活躍してくれる事と思います。

ヘイブンズギフトの2024
さて、上記の再上場は130番の後に行われたのですが、再上場が出てくる前に狙っていたのは125番のホッコータルマエ牡と129番のヘニーヒューズ牡。周回展示で見比べてみるとホッコータルマエは良い感じに歩いているのに対してヘニーヒューズはちょっとテンション高めでチャカチャカ歩いているような感じでした。
しかし、ホッコータルマエに行こうと思ったら2300万円(税抜)まで競りあがってしまい撃沈。
その流れでヘニーヒューズもどうせ買えないだろうと見ていましたが、意外と盛り上がっていないので途中(480万円のところ)から参戦。
その後相手が20万円単位で競るべきところを10万円単位で上げて来たので、恐らく相手の予算は500万円だったのだろうと推測。
これは買える!と思って強気に切り返していくとまさかの520万円の超格安で落札。やった!!
ヘニーヒューズは種付料が500万円もする事からちょっと地方オーナーズには高嶺の花という印象があり、
実際、同父の産駒はサマーセールでの平均取引価格が1176万円、牡馬に限定すると1560万円となっていたので、とても良い買い物が出来たと自負しています。
落札後、先日当クラブのキエティスムで重賞初制覇を飾った大井の田中正人先生から「会田さんが落としたヘニー、前半で他の馬を買ってしまったので断念しましたが、メチャ良かったです。南関行く事があればウチも候補に入れておいてください」と嬉しい連絡が入ったので、門別デビュー後よっぽど適性が無さそうな馬でなければ前向きに検討しようかなと思っています。

エコパンの2024
次、217番のエコパンの2024。これも軍師が推挙した馬ですが、自分は父ディーマジェスティというのがクラブで募集する事を考えると人気にならなそうでどうなのかなと。
ただ、高知の名牝ディアマルコの半妹という血統的背景が良い。
母の産駒は他に計8頭が馬名登録され、地方競馬でデビューする馬が多いため中央勝ち馬こそ1頭に留まりますが、
地方競馬では実に39勝とまさに地方で輝く産駒を数多く送り出しています。
父ディーマジェスティも調べてみるとイメージとは裏腹にJRAでの勝ち星は芝とダートでほぼイーブンで
ちょっと立ち気味の繋ぎからもダートが向いてそう。
あまり立ちすぎていると脚元に支障を来たす場合がありますが、
レポジトリーは全く問題なかったですし、坂路のある門別だったら特に気にする必要もないでしょう。
お代300万円でしたが、それより安く取れるなら行きましょうぐらいのスタンスで、
200万円で取ってもらうとまさかのそのまま一声で落札。やった!!

名牝ディアマルコの妹という事で買った後馬事通信さんの取材が来て、9月15日号の高知競馬Now!というコーナーで本馬の事を紹介してもらいました。これだけでも買った甲斐がありましたね。
結果的にこの馬は預託枠の兼ね合いでセプテンバーセール後に川島洋人先生にお願いしましたが
軍師からも「この値段で買えたなら良かったじゃない!」と言って頂きました。
取材に答えたように、母と同じような活躍を期待します。
これにて1日目が終了。初日は結果的に6日間で2番目に平均落札価格が安く、結果的に良い立ち回りをする事が出来ました。
2日目以降の話は後編に続きます。