【コラム】HBAセプテンバーセール2023レポート

サマーセールを振り返る

まずはじめに、今年の募集は昨年と同じく預託繁殖の当歳馬を合わせて全部で4頭と考えていて、
セリでの購買は3頭で2000万円(税抜)の予算を組んでいたのですが、
サマーセールではダノンレジェンド、ヘニーヒューズ、パイロと人気種牡馬の産駒を取り揃えたにも関わらず
3頭で1410万円と思いの外上手く買えてしまいました。

本当はもう買わなくても良かったのですが、予算的にはまだ余っているのでセプテンバー以降のセリでは
「良い馬を安く仕入れるチャンスがあれば買う」というようなスタンスで臨む事にしました。

やっぱり強い道営馬

まず競りの話をする前に、この中間改めて思ったのが、やっぱり道営の育成馬は強いなと。
昨日の平和賞(船橋)では当クラブでおなじみの田中淳司厩舎のカプセルとキタノヒーローがワンツー、3着も道営の馬でした。

鎌倉記念を勝った同じ田中淳司厩舎のサントノーレもそうですが、道営では決してNo.1と言う馬ではなくても、この時期であれば南関のトップクラスの馬を軽くひねってしまいます。

南関重賞だけでなく、全国各地の2歳重賞で道営馬が活躍しており、セリの取引価格にも注目して頂きたいのですが、
先週の日曜日に道営から遠征で金沢シンデレラCを勝った同じ田中淳司厩舎のシトラルテミニはセプテンバーセールで300万円。
他厩舎でも園田プリンセスCを勝ったコモリリーガル(米川昇厩舎)はオータムセールで120万円。フローラルCを勝ったアメリアハート(小野望厩舎)も310万円。

今、全国の地方競馬場ではセリの購買補助事業を行っており、全国に高額な新馬がたくさん入っていて、特に南関や園田などでは1千万以上の高額馬も全然珍しくなくなっているのですが、育成力とレース経験でそういった馬たちを凌駕する活躍を見せています。

スペリオルパンサーの活躍

当クラブの2歳馬もブラックバトラーが重賞を勝つ等世代トップレベルの活躍を見せてくれていますが、
個人的には門別のオープンクラスで活躍している馬相手では少し足らない馬だったスペリオルパンサーを早期に金沢へ移籍させ、
大差の2連勝から惜しくもネクストスターは勝つ事は出来ませんでしたが
3着と一定の成果を出した事が出来たのがスマッシュヒットだったなと思っています。

昨年の募集馬は創設初年度の3歳ダート三冠を狙いにいくと公言していたので中距離向きの馬を取り揃えましたが、
各馬やや路線が被ってしまった事もあり、今年は余った予算で各地のネクストスターを狙えるような短距離向きの馬を取り揃えて、
打倒中央とまでいかない馬は次々と各地に移籍させたり遠征させたりすればクラブによりたくさんの重賞タイトルをもたらしてくれるのでは、と思いました。

軍師の預託枠

ハッピーオーナーズクラブではこれまで年2~4頭くらいの規模で募集していたのですが、
クラブから様々な路線でたくさん活躍馬送り出すにはやはり社台さんのように頭数を増やして、
実際使ってみてからこの馬はダート三冠、この馬はネクストスター、この馬はグランダム路線、
などと振り分けて活躍の場を増やしていかないと難しい。

しかし、これ以上頭数を増やすとなると田中淳司厩舎のキャパシティの問題が出てきます。

サマーセールでは既に3頭買ってしまっていたのでどうかなと思ったのですが、
幸い先生は後1頭なら預かってくれるとおっしゃって頂けたので、
セプテンバー以降のセリで買った馬の中で1頭だけ選んでもらって、後は道営の別の厩舎にお願いするか
中央競馬などで自分で使う事も検討しよう、ということになり今回からハッピーレーシングではなく会田裕一名義で購買する事にしました。

活況を呈したセプテンバーセール

さて、セプテンバーセールですが、僕はもちろん3日間とも参戦しました。
9/19(火)の朝一の便に乗り朝9時前に新千歳空港に到着し、
レンタカーを借りて会場に着いたのが10時半頃。
一斉展示の最中雨が降って来たりとあまり天気は良くありませんでした。

初日のオープニングは一部を除いて主取りや低価格で取引された馬が多く、低調な感じがしました。
SNSでは「あれ、セプテンバー安いんじゃね?」みたいな声が結構上がっていましたが、
自分から言わせてもらうと、この日はシニスターミニスターが1頭もいなければ
ダノンレジェンドも九州産と小さい馬の2頭しかいない。明日以降の方が上場馬のラインナップが濃いので
総合的には売上レコードになるのではと予想していましたが
進行が進むにつれて活況となり1千万円以上で取引される馬もちらほら出始め
結局序盤にセールの最高価格となる2500万円まで飛び出すという
想像の斜め上をいく活況ぶりでした。
結局この日は落とす事が出来ず、続く2日目も
再上場された主取り馬を狙うなどして終盤まで粘ったのですが結局買えず。
ここまで全く隙が無いセリでせっかく来たけど買えないのでは・・・と暗雲がたち込めました。

ボーナスステージ到来

しかし、3日目の終盤になると外は大雨で、
みんな帰ってしまったのか明らかに会場に人が少なくなり、
主取りも多く相場に明らかに緩みが出て来ました。

特に543番ののそこそこ馬格のあるマインドユアビスケッツが300万円で主取りになっていて、
結局これは生産者さんが自分で使うとのことで再上場を取ってくれなかったのですが、
300万円って種付け料だぞ?となり諦めムードから一転、ヤル気を出して
この後の馬を積極的に狙っていこう事になりました。

その中で、先生の目に留まったのが578のクラッシーシャーロットの22。
これはやや小柄な馬なのですが動きが非常に良く、
遅生まれで腰高なのでまだ大きくなりそうな身体をしていました。

母24歳時の産駒というのがどうかなと思ったのですが、19年産も2勝していますし、ピンクカメハメハのように母高齢でも活躍した馬はたくさんいて、そのピンクカメハメハの選馬をした森先生も「以前母高齢を嫌って見逃した馬が後の英ダービー馬ニューアプローチだった」とおっしゃっていたので、馬が良ければ気にしなくても良いと思いセリに参戦したのですが、何と150万円の超格安で落札する事が出来ました。

この馬は父レインボーラインということでダート適性が分からず、きょうだいがこれだけJRAで勝ってるなら自分で使おうかなとも思ったのですが、セリが終わった後の打ち上げで、育成場をやっている飲み友達が「この値段ならトレーニングセールに出したら面白いんじゃないか」ということで、そことの縁を作りたかった事もあり、ひとまずそちらの方向で進めていく事になりました。

今回の募集馬「コウヨウタレイア22」を落札

その後狙っていたのは今回の募集馬でもある582番のホッコータルマエ産駒「コウヨウタレイアの22」。

タルマエ産駒は気性が良い馬が多く距離も持つので以前からうちのラインナップに加えたいなと思っていたのですが、これまでセリでことごとく高額になる事もあって一度も予算内で買えた試しがありませんでした。

一緒に選馬をした田中淳司調教師は自厩舎で管理したグラーツィアやライトニングブルーなど、手先が軽いスピードタイプが走る印象があると話していて、この仔も同じような歩様をしていると話していました。

母コウヨウタレイアは大井重賞・優駿スプリント2着をはじめ快速で鳴らした馬なので、きっとこの仔もスピードタイプでしょう。

現在420kgとやや小柄ですが、5/22の遅生まれですのでまだ成長すると思いますし、南関の重賞を勝ったママママカロニなど牡馬で420kg台でのデビューであの強さでしたからサイズ感は問題なく、成長を見込んで買えば安く落とせるのでは、ということでセリに参戦しましたが、あまり競ってくる馬主さんもおらず、360万円であっけなく落札。

タルマエ産駒は母父サンデーサイレンス系と相性が良く、今年のスパーキングレディC(JpnIII)を制したレディバグなど重賞馬13頭のうち、実に7頭が母父サンデー系です。本馬も同じく母父サンデー系で、母コウヨウタレイアは大井重賞・優駿スプリント2着をはじめ快速で鳴らした馬でした。道営は牝馬重賞が豊富で、ほとんどが短距離戦で行われていますから、勝ち上がって上手く重賞戦線に乗せる事が出来ればエーデルワイス賞やグランダム・ジャパンなどを狙っていきたいです。

この馬もどうしようか迷ったのですが、落札後たまたま川島洋人先生が、「うちの馬主さんに競ってもらってたんだけど会田さんが手挙げてたのでやめました~」と言って来たので、オータムセールが終わった後最終的に川島洋人先生にお願いする事に決めました。

落札後の立ち写真

…以上、書きたい事がたくさんありすぎて大長編となってしまいましたが、明日のオータムセール編に続きます。