【コラム】HBAサマーセール2022レポート(後編)
こんにちは、代表の会田です。今日は毎年恒例のHBAサマーセール2022レポートの後編をお届けいたします。
前編はこちらをご覧ください。
3日目
既に牡馬を1頭落札したので、3日目以降は牝馬を1頭買いたいと思って見ていました。
ダートの人気種牡馬の産駒だと、牡馬だと何かを妥協しないと買えないと前編に書きましたが、
牝馬だったら予算500万前後あれば「これ!」という馬が買えるのではないかと見ていました。
しかしその考えは非常に甘くこの日はパイロやホッコータルマエは牝馬でも最低700万、
ヘニーヒューズに至っては1000万オーバーで、良いなという馬はことごとく予算オーバー。
エスポワールシチーやシニスターミニスターで300万円台で落とされている馬もいましたが、
遅生まれだったりサイズが小さかったりで
同じシニスター牝馬でも納得のいくようなデキの馬は1000万を超えていきました。
ただこの日はエスポ牝馬も1頭しか上場されていなくて、
良さそうな馬が4日目・5日目に集中していたので、
この時点ではまだ明日も明後日もあるからと非常に楽観視していました。
4日目
この日は狙いの種牡馬の中でエスポワールシチー産駒が7頭。ホッコータルマエ産駒が8頭上場。
内、牝馬は3頭ずつで頭数の多いこの日で決めたいと思っていました。
この日は木曜日なので、JRAの調教師が追い切りや出馬投票などでトレセンに戻っている事も多いかなと思ったのですが、
やはりダート牝馬は南関などの補助金勢が強く結果的にエスポワールシチーの牝馬は最低620万円出さないと買えず。
エスポワールシチーはこの世代は種付けを辞めていた時期があって産駒が少ないのですが
産駒の活躍が目立って地方競馬のリーディング種牡馬を取りそうな事もあってか
今年は去年より相場が確実に上がっています。
一方ホッコータルマエ牝馬は500万円台で落札されるシーンも。
特にアンダービッダーだったNo.988は、現時点ではまだ薄いけど
成長するにつれトモ幅が出て来そうと淳司先生が話していたのですが、
2日目にあれだけ素晴らしいシニスターの牡馬を450万円で落とせてしまった事が逆に思い切りを悪くしてしまい
今考えたらもうちょっと頑張っても良かったかなと思いました。
5日目
1頭しか買えないままとうとう最終日になってしまいました。ここまで市場に張り付いて思った事は、
「例年より相場に隙が無くなっているな」と。
前編に市場に朝から晩まで張り付いていると、隙が生じて相場より安く買えるタイミングがあると書きましたが、
やはりこれだけ馬の価格が高騰すると、みんな少しでも安く買おうとするのは一緒なので、
同じ事を考えている陣営がそれだけ多いんだな~と思いました。
で、この日も朝から一斉展示を隈なく見て回って、淳司先生と一緒に厩舎へ行って気になった馬を出して回ります。
この日はNo.1160のホッコータルマエ牝馬と、
No.1250のインカンテーションの牝馬(ワンズガーホッドの21)に目が留まりました。
インカンテーションは、本年度が初年度産駒のデビューなのですが、
道営の関係者の間で走ると話題になっていて、
地方登録された19頭のうちデビューした15頭中7頭が既に勝ち上がり。
そのうち2頭が2勝を挙げており、重賞で馬券圏内に来た馬も複数頭輩出しています。
登録されている初年度産駒22頭のうち19頭が地方登録馬とほぼ地方専門なので、
今はまだ門別の関係者ぐらいにしか気づかれていませんが、
この活躍が全国区に広がると産駒の評判が上がるのは間違いなしで、
実際田中淳司先生も、このセリで3頭も他の馬主さんに買わせていました。
このリストアップした2頭のうちどちらが気に入ったかと言えば後者なのですが、
やはりインカンテーションが世間一般的にはまだ聞き馴染みがない種牡馬なので、
「買ってもオーナーズで売れないのではないか」という事がどうしても頭の中をよぎってしまいました。
悩んでいると「でも会田さん、オーナーズで募集する事を考えなければ間違いなくこの馬行くでしょ?」と淳司先生に言われて、
それはそうなんですが、確かに人気種牡馬のこれといった産駒は昨年までの相場では
一切買えなくなってしまっている現状。
幸いこのワンズガーホッドの21は上場番号が一番最後の方だったので、
インカンテーションならそんな高くはならないだろうと言う考えから、
No.1160のホッコータルマエ牝馬が500万円前後で落ちなかったら、
予算を多少オーバーしても1250に突っ込もうという作戦で行きました。
ここからのセリの様子は、実際に競っている様子を動画で見て頂くと面白いかもしれません。
まずはNo.1160のホッコータルマエ牝馬。動画の3’34’20あたりを見てください。
こちらは、250万スタートから、じわじわ520万円まで競ったのですが、
500万を超えても10万円単位で上げて来ている事から、
相手の予算もぎりぎりだったと思います(500万円を超えるとサインを出さなければ20万単位で上がります)。
まあ、500万を超えたらインカンテーションの方に行こうと決めていたので見送りました。
そしてNo.1250のセリが始まりました(動画の5’53’00あたり)。
まず、手を挙げた人が1人しかいなくて、このまま200万で落ちそうだったので、
少しジャブを入れてから畳みかけてやろうといきなり300万まで上げました。
すると、逆に相手がこちらを振り切ろうとしたのか、350、400、450、500と
50万円単位でどんどん上がっていき、その度に応札していたら、
相手も予算500万前後と考えていたのか、ほぼ予算通りの税抜520万で落とす事が出来ました。やったー!!
まだ知名度がいまいちのインカンテーション産駒ということで、ちょっと販売に苦労するかもしれませんが、馬体に欠点はなくもし売れ残っても自分で持てば良いと思える素材なので、納得の行く買い物をする事が出来て良かったと思います。
写真には社会科見学?に来てくれた落合騎手や石堂騎手も一緒に写っています。
なんだか石堂君が馬主みたいですね(笑)
彼らはコロナ禍が続いていたこともあり、これまでセリに顔出すのは主催者から禁止されていたようなのですが、実際に競馬場に来るまでの競走馬の選馬から落札までの駆け引きを見て、とても勉強になったと言っていました。
次回は、預託繁殖牝馬についてのエピソードをお届けします。