地方馬のJRA指定交流競走の出走条件
2023.11.2更新 最近この記事へのアクセスが増えていますが、本記事は2019年当時のものになります。この後大きく出走条件が変わっており、本記事は現在では全く参考になりませんのでご了承ください。
こんばんは、代表の会田です。
以前、地方所属馬が出る事の出来るレースについて大まかに「特別指定競走(特指)」と「指定交流競走(指定)」の2種類がある解説させて頂きました。
前回の記事では(特指)について解説いたしましたので、今回は(指定)について説明したいと思います。
以前の記事に、(指定)には大きく分けて3種類のパターンがあると書きましたので、その分類毎に詳しく解説していきます。
なお、(指定)は全てオープン以上の条件で行われます。
1.GIおよびGIステップ競走
地方馬が出走出来るGIおよびGIステップ競走は、以下の表から参照する事が出来ます。
[地] が出走できるGⅠ競走とそのステップ競走について【平成31年度(2019年)】
http://www.jra.go.jp/keiba/program/2019/pdf/kakuchi.pdf
GIは一部例外もありますが、基本的にGIステップ競走で指定の着順に入った馬のみが出走出来ます。その前まずはGIステップ競走の出走条件から見ていきましょう。
GIステップ競走の出走条件
GIステップ競走に出走するには、基本的には所属している地方競馬場のブロック(地区)代表馬に選出される必要があります。代表馬はブロック毎に1頭のみです。
ちなみにこの場合の「ブロック」とは、厳密には「所属場」の事ではなく、JRAが以下の通り独自に地方競馬場をブロック分けしています。
ブロック | 地方競馬主催者 |
北海道 | 北海道 |
東北 | 岩手 |
南関東競馬 | 浦和・船橋・大井・川崎 |
東海・近畿 | 金沢・笠松・愛知・兵庫 |
四国・九州 | 高知・佐賀 |
ブロック代表馬の選出方法
ブロック代表馬の選出方法は、以下の2パターンあります。
(1) ブロック代表馬選定競走がある地区は、その競走に勝てば出走権が与えられる
(2) 無い場合は、所属するブロックで選考会を開いて決定する
優先出走権ではなく、あくまで「出走権」
ハッピーグリンがOROカップに出走した時、「勝ったら富士Sへの優先出走権が与えられる」という書き込みがSNSやnetkeiba掲示板で散見されましたが、あくまでただの出走権であって、優先出走権ではありません。
地方枠が3頭までなので、たとえば前述の5つのブロック全てから地方馬が出て来た場合は、収得賞金順で出走が決定されます。(そんな事は中々ありませんが)
所属するブロックが違えば、ブロック代表馬選定競走を勝たなくても出れる
ハッピーグリンがOROカップに出走した時これもよく勘違いされたのですが、OROカップは東北地区、つまり岩手競馬のマイルCSトライアルのブロック代表馬選定競走になっています。
岩手所属馬はこの競走を勝たないと富士Sには出れませんが、ハッピーグリンの所属する北海道にはマイルCSトライアルのブロック代表馬選定競走が無いため、選考会でブロック代表馬に選定してもらえればマイルCSのトライアルに出走する事が出来ます。
つまりハッピーグリンはOROカップに出なくても、富士Sには出れたのです。
GIの出走条件
GIの出走条件は、以下の表に書いてありますが、少し補足しておきます。
[地] が出走できるGⅠ競走とそのステップ競走について【平成31年度(2019年)】
http://www.jra.go.jp/keiba/program/2019/pdf/kakuchi.pdf
有馬記念・宝塚記念・ジャパンカップ、フェブラリーS、チャンピオンズCについて
これらのレースは、「本会が別に定める選定基準により選定された馬」となっていますが、つまりJRAに選定された馬のみが出走出来ます。
ただ、選定されても地方枠というものはなく、出走申込が出来るだけであってあくまで中央の他の馬との出走馬決定順に応じて決定されます。
なお宝塚記念・有馬記念は地方馬はファン投票の対象外です。
また フェブラリーS・チャンピオンズCはオープン馬でないと出走出来ません。
5大クラシックは地方馬でもクラシック登録をしないと出れない!
皐月賞・ダービー、菊花賞、桜花賞、オークスの5競走は、地方馬でもクラシック登録をしないと出走する事が出来ません。
詳しくは以下をご覧ください。(平成31年度のものになりますので日付にご注意ください)
http://www.jra.go.jp/keiba/5dai/pdf/youryou.pdf
クラシック登録は、例年上記の10・1月・3月頃に各主催者に、登録希望馬がいないかどうかJRAからお達しが来ますので、番組を通じて申し込んでください。3回とも登録しないと、高額な追加登録料を払う羽目になりますのでご注意ください。
ちなみに田中淳司厩舎でも今までクラシック登録をした馬主はいなかったというので、地方馬がクラシック登録をする事は少ないのかなと思いきや、ハッピーグリンの年はちゃっかりダブルシャープやリュウノユキナも地方在籍時に申し込んでいたようです。逆に他の馬はいなかったので、例年北海道シリーズで好走した馬が申し込むぐらいだと思います。
芝GIは地方移籍後、収得賞金を加算していない馬は出走出来ない!
芝GIはGIステップ競走と違って地方競馬に移籍後収得賞金を加算していない馬は出られません。具体的には、「地方移籍後勝った事のある馬」か、「地方移籍後2着賞金が100万以上の競走で2着に入った事のある馬」のみが出られるということになります。
以前にダイワマッジョーレですとか、ガリバルディなど中央の芝重賞を勝った馬がサラブレッドオークションに出て来た事がありましたが、こういう収得賞金がたくさんある馬でも移籍後すぐにGIには出走出来ない事になります。
2.夏季の地方競馬との指定交流競走
現在は巴賞、福島テレビOP、札幌日経OP、小倉日経OP、朱鷺Sの5競走の事を指します。かつてはテレビ愛知OPなどもありましたね。
それぞれ地方枠が5つ用意されていて、地区関係なく賞金順で出る事が出来ます。
GIステップと違って同じ地区から複数頭出走出来る!
補足すべき事項としては、1.と違って出走出来るのが各ブロックにつき1頭ではないので、同じ地区から混載して出走する事が出来ます。私は2018年に福島テレビOP・朱鷺Sに岩手のプリヴィレッジとエデンロック2頭混載で挑戦し、輸送費の節約になりました。
地方移籍後、収得賞金を加算していない馬は出走出来ない!
こちらも芝GIと同じく地方競馬に移籍後収得賞金を加算していない馬は出られません。具体的には、「地方で勝った事のある馬」か、「地方移籍後2着賞金が100万以上の競走で2着に入った事のある馬」のみが出られるということになります。
3.ダートグレード競走
中央競馬のダート重賞は全レース地方馬に開放しています。これもブロック制ではないので、同じ地区から複数頭出走出来ます。
但し基本的にオープン馬しか出られません。
(3歳の競走は中央の収得賞金換算で、2勝クラス以上の馬ならOK)