【コラム】HBAサマーセール2024レポート(前編)
こんにちは、代表の会田です。
本日より2024年サマーセール購買馬の申込受付を開始させて頂きましたが、既にたくさんのお申込を頂いており、誠にありがとうございます。
明日以降、順次返信していきますので宜しくお願いいたします。
例年ですと恒例の本コラムは募集開始前にアップしていますが、今年は募集時期を早めたのと頭数が倍増した関係上、先に執筆する時間が取れませんでした。
今回は1日ずつ3回に分けて、前編で昨年の振り返りと今年の募集方針について、中編では今年の選馬のテーマについて、後編ではセリの実録レポートをお届けしようと思います。
昨年のサマーセールの振り返り
昨年のサマーセールでは、キエティスム・ビバロジータ・レーザースペックルの3頭をこのセリで仕入れましたが既に3頭とも勝ち上がっており、
そのうちキエティスム・ビバロジータはフレッシュch(新馬)勝ちで認定獲得。
キエティスムは地方競馬全国交流重賞の盛岡ジュニアグランプリに選ばれ5着、
ビバロジータは金沢へ移籍し重賞の石川テレビ杯制覇と、大成功を収める事が出来ました。
通年で上場頭数が一番多いセリですから、選馬を確実に行えば間違いなく当たりが含まれているセリと言えるでしょう。
募集開始を早めました
昨年の仕入れは3頭でしたが、今年は主取り馬1頭を含めて計6頭の購買となりました。
既に預託繁殖の馬を1頭募集しているので、既に1歳馬が7頭募集となっており、
この後セプテンバー、オータムとあるのに正直「買い過ぎてしまったな」と^^;
ちょっと捌けるか心配なので、今年は募集を早めにして早割をセプテンバーセールの前日までに設定し、
ある程度の売れ行きを見てから今後のセリで何頭追加しようか決めて行こうかと思っています。
それともう一点、当クラブは最大手の牧場系クラブのように一次募集で何十頭も募集するのではなく
セリが終わる度に都度募集を行っているので、共有オーナー様の話を聞いていると、
「オータムの募集でブラックバトラーみたいな馬が出てくると分かっていれば、サマーの馬に行かなかったのにな~」とか
年間の資金配分が難しいようなお声もちらほら耳にしました。
かと言って募集馬が全て出揃うまで待っていると満口になってしまう事もありますので、
次のセリの募集馬が出る前の早期にお決め頂いた方には何か特典があった方がいいかなあと思いこのような割引設定にいたしました。
募集締切を2月末から能力試験受験前日までに変更しました
これまでの募集では、募集締切を2月末までとしていましたが、今年から能力試験受験前日までに変更しました。
今まで問題なければ全頭3月最初の能力検査を受ける田中淳司厩舎に入れていたので2月末までとしていたのですが、
最初の能検は田中淳・角川の両厩舎で大半を占めるので、頭数増加により昨年より川島洋人厩舎にもお世話になり始めた事や、
またアサガオのように一頓挫あってデビューが遅れる馬にも様子を見ながら出資出来るようこのような変更にいたしました。
たださすがに、能力試験の走りを見てからだと先にお決め頂いた方に対してアンフェアなので、このような設定としています。
田中淳司厩舎の募集馬に副題をつけました
田中淳司厩舎は、言わずと知れた道営のトップトレーナーで、2歳馬を毎年50頭以上預かっています。
フレッシュチャレンジを見ていると、毎週のように所属馬を出走させていて、「この厩舎は一体何頭2歳馬を預かっているんだ」と思っている方も多いのではないでしょうか。
門別競馬では4月末から2歳戦が行われており、来たる重賞戦線に向けて駒を揃えなければなりませんから、
厩舎ではなるべく3月の初回の能力検査を受検させてみて、早い時期に動けそうな馬から順にデビューさせていきます。
ただ、どの馬も2歳3月に仕上がる訳ではなく、時間を置いて良くなっていく馬ももちろんいますし、
どの馬も春先の短距離戦でビュッと動けるかと言うとそういう訳ではなく、中距離が向きそうな馬もいますよね。
昨年の募集馬「スノーシャワー」なんかはまさにそんな感じの馬で、早い時期の門別の短距離戦で動き切るには足りないので
厩舎内の序列でデビューが少し先になってしまうけど、
仕上がりは早く、この時期にこれだけの本数の追い切りをこなしている馬はいないので、
他場に行けば春先から勝負になると田中淳司師から進言を頂き大井競馬に移籍させました。
なぜ大井競馬かと言うと、門別競馬では、民間の育成場より預託料が安いため、厩舎を育成場代わりに使うと民業圧迫になってしまうことから、
2歳の2月1日からレースを使わずに他場に移籍すると1日3300円の違約金が発生してしまいます。
一方、大井競馬では5月31日までに厩舎に入厩すると、能力試験合格まで1日3300円の早期入厩手当が支給されるため、これを相殺する事が可能です。
また、3歳10月までの移籍の縛りが出て来てしまいますが、3歳2月までの能力試験合格で育成馬補助金(110万円)の受給を受ける事が出来ます。
育成馬補助金は他の南関東3場にもありますが、頭数制限があったり、事前の申込が必要だったり、共有の場合は予め共有者を決めて申し込まないといけなかったりするのですが、
大井は代表馬主が馬主会に入っていれば共有者も上記の特典を享受する事が出来ます。
さて、そのスノーシャワーですが、上記の進言を受けて田中淳司厩舎で研修をしていた縁で真島大輔厩舎にお願いし、
4月中旬に入厩した後すぐに能力試験を受けて、まず育成馬補助金110万円と早期入厩手当36000円を獲得しました。
緒戦は強い馬と当たってしまい3着でしたが、このレースの出走で賞金112.5万円と、大井の新馬戦は優良2歳馬導入事業対象競走となっているので、3着で副賞20万円を獲得。
この1戦だけで道営のアタックチャレンジの1着賞金(120万円)以上の賞金を手にした事になります。
次は前走勝ち馬と同じレースに組まれてしまった事から敗れますが、次走で1着賞金320万の選抜牝馬戦が組まれ、そこを勝利する事が出来ました。
このレースはNARから牝馬限定競走勝馬褒賞金の副賞が40万円、セプテンバーセールの市場取引賞30万円が支給され、
スノーシャワーの募集価格は早割で650万でしたから、これまでの賞金や諸手当などの収入を全て合わせると早くも馬代金くらいは稼いでしまっている事になります。
もちろん、預託料や進上金を考慮するとまだペイとまでは行っていませんが、2歳の9月でこれだけの収入を得たと言う事は一定の成功と収めたと言えるのではないでしょうか。
田中淳司先生にしても、こういう進言は「走らないから他所に持っていけ」と聞こえるかもしれないので、他の馬主さんには言いにくいと思うのですが、
僕と先生はハッピーグリンで一緒に香港のGIまで行ったくらいの、家族ぐるみでお付き合いをさせてもらっている仲なので、こういう事をはっきり言ってもらえます。
こういう風に柔軟なマネジメントをしていくのが当クラブの強みですが、募集時に予定していた厩舎でデビューしないと良く思わない人がいるかもしれないので
今年の募集からは「田中淳司または大井」「田中淳司または岩手」と副題をつけさせて頂きました。
このような形での募集にすれば、毎年預託頭数が多くて困っているであろう厩舎側にしても2歳戦で動けそうなそうな馬だけ手元に残せますし、
クラブ側も仕上がった馬を賞金の高い大井でデビューさせる事が出来ますから、お互いWin-Winの関係を築く事が出来るでしょう。
なお、門別デビューとなった場合、その後に大井に移籍する事を確約という意味ではなく、状況に応じて他地区に移籍する場合もありますので予めご了承頂ければと思います。
以上、長くなってしまいましたが、中編へ続きます。